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ある保険会社が、事故を起こした車の修理を請け負う保険を、誰にでも一律の保険料で販売したとしよう。この保険料はすべてのドライバーの平均的な事故のリスクを反映している。だが、高い運転技術を持っていて非常に注意深いドライバーは、自分が事故を起こす確率は平均的なドライバーよりも低いことを知っているので、その保険料は高いと感じるだろう。だから安全なドライバーは危険な運転をするドライバーに比べて、この保険の購入をためらう。その結果、保険会社にとって最も好ましくない顧客、つまり事故のリスクが平均より高いドライバーだけが保険を購入することになる。安全なドライバーと保険会社の間で交わされる保険契約は相互に利益をもたらすが、ここではそれが実現されていない。なぜなら、ドライバーだけが自分のリスクの性質について知っている、言い換えればドライバーが私的情報を持っているので、保険会社はドライバーの真のリスクに基づいて保険料を決定できないからだ。高額な保険料が安全なドライバーを市場から「締め出す」のだ。
クルーグマン ミクロ経済学 P.539 第18章「不確実性・リスク・私的情報」